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アクティブ・ラーニング:教員コラム 第3回/アクティブ・ラーニングで展開する英語授業(上杉裕子)

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アクティブ・ラーニングとは、何でしょうか?
単に授業中に活動的になる、ということでしょうか?
そもそも「学ぶこと」というのはどういうことでしょうか?
「学ぶこと」の語源は「まねる」です。「まねる」→「まねぶ」→「まなぶ」と変化してきました。つまり模範とするお手本があり、それをまねながら身につけること、これが「学ぶこと」なのです。
アクティブ・ラーニングとは、その「まねる」行為を、仲間たちと共同体で実践していく方法と言えるでしょう。アクティブ・ラーニングは、協同/協働/協調学習(collaborative / cooperative learning)とも言います。少人数集団で自分と仲間の学びを最大限に高めあい、全員の学力と人間関係力を育てあう教育のことです。と言うとちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、要は、仲間を見捨てない、そして全員を伸ばすことをめざしている学習法です。
アクティブ・ラーニングがうまくいったとき、思わぬ相乗効果があります。それは人間関係が良くなることです。授業が変われば、いじめの件数や不登校学生の数も減少し、学校そのものが変わってきたという事例もあります。
もちろん、一斉・一方向の講義型授業から学ぶことも多いです。しかしアクティブ・ラーニングは主体的かつ対話的な深い学びを実現させます。さらに、授業そのものが終わっても学びが続き、自宅に戻ってからも自分の意志や興味でテキストを開いたり、調べたりするのです。知的好奇心が高まり、それが継続し、学びが生涯続いていくこと、これこそアクティブ・ラーニングの究極のゴールと言っていいでしょう。
私はこれまで高校、高専、大学で約20年英語を教えてきました。特に近年はアクティブ・ラーニングが様々な教科で導入されています。英語の場合、アクティブ・ラーニングの導入はし易いと言ってよいでしょう。その理由は、異なる言語を身につけるということは、消極的(passive)にはできないからです。異なる言語を身につけるためには、一歩前に出て自分の殻を破らなくてはならないのです。
私はこれまで英語授業にアクティブ・ラーニングを積極的に取り入れてきました。少人数で学ぶ共同体の土壌づくりとして行ってきたThink-Pair-Squareという方法をご紹介しましょう。SquareはShareとも言われます。

図1:Think-Pair-Square(1→2→4人)

これは以下のような段階を踏みます。
1. (個人) 個人で学ぶ。
2. (ペア) 学んだことをペアで話し合う。
3. (グループ) 4人で話し合い、深める。
4.   クラス全体に発表して情報共有。

これまではCALLシステムを使って、まず個人でネットや辞書を使って考えたのち、教員のコントロールパネルでランダムにペアを組みました。ランダムなので学生たちは誰とペアになるかとてもハラハラしていたようです。ペアができたら歓声があがるほど。その後さらにランダムに分けられたグループでシェアし、最後はクラス全体で発表。ペアやグループでのディスカッションの時、学生たちはとても楽しそうで、教員はコントロールパネルで学生にはわからない状態で巡回し、陰で活動ぶりを見守りました。まさにいろいろな学生とペアやグループになって接することで、異なる考えや理解に触れ、コミュニケーション能力の育成につながりました。
叡啓大学ではCALLシステムとは異なり、学生たちが各自PCを持参しますが、CALLシステムに類似した方法で、しかも各自のPCを活かした展開にしていきたいと思います。
叡啓大学のリーディング英語で、Think-Pair-Squareを活用すると、次のような授業展開となるでしょう。テキストの内容は1レッスンの中には、リーディングアサインメント、リスニングアサインメント、Q&A、ディスカッショントピック、リサーチトピックが含まれています。

このように、Think-Pair-Squareを織り交ぜることで、役割分担が必要になり、学生が教えあい、学びあい、助けあう共同体が生まれるのです。
叡啓大学の英語授業の中には、特別イベントとして、オンラインで海外の教育機関とプレゼンテーションで交流体験を導入する計画をしている科目もあります。実際に外国の学生と交流する機会を盛り込むことにより、アクティブ・ラーニングが、実践的な異文化理解へと発展するため非常に効果的です。プレゼンテーマとして、自分の住んでいる地域の年中行事、食文化、人気のあるスポーツ、ご当地自慢、観光地を共通のテーマに設定すると、自国文化理解と異文化理解とが一石二鳥で習得できますね。
英語授業においてアクティブ・ラーニングを導入すると、人間関係・居場所感の向上だけでなく学びの共同体が生まれ、コミュニケーション能力と英語力が向上します。そして学生は英語を楽しく学ぶ自律学習者に成長していきます。
学生たちがアクティブ・ラーニングで英語を学ぶとき、学生たちの顔は活き活きしています。たくさんの笑顔と笑い声が絶えません。仲間から学ぶときは、まさに前のめりの姿勢。そして何より嬉しいのは「仲間たちと学べるから、英語の授業が楽しみ」「今日の授業、時間があっという間に過ぎた!」という声を学生から聞いた時。それくらい充実感をもたらすのがアクティブ・ラーニングです。
さあ、主役は君たち学生です。学びの共同体で共に助けあいながら、英語を楽しく身につけていきましょう!

参考文献

江利川春雄編著(2012)『協同学習を取り入れた英語授業のすすめ』大修館書店
佐藤学(2003)『教師たちの挑戦:授業を創る、学びが変わる』小学館
松下佳代ほか(2015)『ディープ・アクティブラーニング:大学授業を深化させるために』勁草書房
山本崇雄(2015)『はじめてのアクティブ・ラーニング! 英語授業』学陽書房

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